事業承継・M&A補助金とは|15次公募は受付終了、次回に備える確認点
事業承継・M&A補助金の15次公募は2026年7月24日に受付終了。4枠の対象経費と、申請済み・次回検討者が確認する契約時期や資金計画を整理します。
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事業承継・M&A補助金は、会社を売れば自動的にもらえるお金ではありません。2026年の15次公募は、事業承継に伴う設備投資、M&Aの専門家費用、廃業と再挑戦、M&A後の統合を支える4枠に分かれ、対象者・経費・契約時期を満たす申請を審査する制度でした。
15次公募の受付は、2026年7月24日(金)17時に終了しました。2026年8月12日に事業承継・M&A補助金の公式ページを再確認した時点で、次の公募へ申請できる日程は掲載されていません。15次へは新たに申請できません。その要件を将来の公募へそのまま読み替えることも避けてください。
| 現在の状況 | 先に行うこと |
|---|---|
| 15次へ申請済み | 採択結果と交付申請の案内を待ち、対象経費の契約・発注時期を事務局へ確認する |
| 15次へ申請していない | 15次の新規申請は行わない。次回公募の有無・要件は公式発表を待ち、別制度を含めて公的窓口へ相談する |
| 次回公募に備えたい | GビズID、必要な取組、見積条件、自己資金を整理する。ただし、次回も同じ4枠・補助額・対象経費になるとは決めつけない |
| M&Aの契約を進めている | 補助金のためだけに必要な取引を止めず、補助対象にしたい契約がある場合は、締結前に公式窓口と弁護士・税理士等へ個別確認する |
申請済みでも、採択は保証されません。採択されても、交付決定前に契約・発注した経費が対象外になる場合があり、実績報告で証拠書類を出せなければ交付額が減ることもあります。「補助金が出る前提」で仲介契約や設備投資を先に進めず、公募要領と各枠の別紙を読み、事務局へ確認してから日程を組んでください。
15次公募は四つの枠で構成される
公式サイトが15次公募で掲げるのは、事業承継促進枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠、PMI推進枠の4枠です。過去の制度名や資料にある「5枠」という数を、そのまま15次へ当てはめないでください。専門家活用枠の中に買い手・売り手・小規模売り手などの類型があり、PMI推進枠にも二つの類型がありますが、公式上の事業枠は四つです。
| 15次公募の枠 | 主な取組 | 公式情報上の主な上限・補助率 |
|---|---|---|
| 事業承継促進枠 | 承継を契機とした設備投資等 | 上限800万円または賃上げ要件を満たす場合1,000万円。小規模事業者2/3、その他1/2 |
| 専門家活用枠 | M&Aの仲介・助言、買収前調査(DD)等 | 通常上限600万円、DD費用上乗せで800万円。類型により1/2または2/3。小規模売り手支援類型は上限450万円・2/3 |
| 廃業・再チャレンジ枠 | M&Aを試みた後の廃業費と再挑戦 | 単独申請は上限300万円・2/3。補助下限50万円 |
| PMI推進枠 | M&A後の統合(PMI)に使う専門家・設備投資 | 専門家活用類型は上限150万円・1/2、事業統合投資類型は原則上限800万円・原則1/2 |
上限額は「その金額を受け取れる」という意味ではありません。補助対象と認められた経費へ補助率を掛け、上限・下限、審査、交付申請、実績確認を経て交付額が決まります。廃業費の上乗せや賃上げによる上限引上げには別の要件があります。
事業承継促進枠は、承継そのものの代金を補助しない
事業承継促進枠は、事業承継を契機に承継予定者が行う設備投資等を支援します。公式の「よくある質問(FAQ)」は、事業承継そのものにかかる費用は対象外と明記しています。株式や事業を買う代金を補助してもらう枠ではありません。
説明資料では、補助下限100万円、上限800万円とされ、一定の賃上げ要件を満たす場合に1,000万円へ引き上げられます。小規模事業者の補助率は2/3、その他の中小企業者等は1/2です。廃業費を併用申請する場合、300万円以内の上乗せが示されています。
申請時には、いつ、誰から誰へ、どの形で事業を承継するかを確認します。承継前に買った機械や、交付決定前に発注した工事を後から対象へ入れられるとは限りません。設備の必要性、承継後の生産性向上、支払時期を一つの計画にします。
専門家活用枠は、売り手にも使えるが契約時期が厳しい
専門家活用枠は、M&Aで経営資源を譲り受ける買い手、譲り渡す売り手が、仲介、売り手または買い手の一方を支援するFA(フィナンシャル・アドバイザー)、買収前調査であるデューデリジェンス(DD)などの費用を申請する枠です。仲介・FA費用を対象にする場合、M&A支援機関登録制度に登録された支援機関であることなど、公募要領上の条件を確認します。
通常の事業費は上限600万円で、DD費用の上乗せは200万円以内、合計上限800万円です。買い手支援類型の補助率は2/3。売り手支援類型は原則1/2ですが、物価高による営業利益率の低下や直近決算の赤字など所定要件を満たすと2/3へ引き上げられます。M&Aが実現しなかった場合、通常枠・DD上乗せとも上限300万円へ減額されるとの公式FAQがあります。
今回、小規模事業者等の売り手向けに「小規模売り手支援類型」が加わりました。製造業その他は常時使用する従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下、宿泊・娯楽業は20人以下などの定義があり、上限450万円、補助率2/3です。株式譲渡では共同申請が必要です。M&Aが実現しなかった場合、上限は50万円へ減額されます。
最も注意したいのが契約時期です。公式FAQは、交付決定前に仲介・FA等の委託契約を結んだ費用を対象外としています。支払いだけを後に回しても足りません。M&Aマッチングサービスの比較と補助金申請を並行するときは、登録・秘密保持・仲介契約のどこから「契約・発注」に当たるかを事務局と支援機関へ確認してください。
廃業・再チャレンジ枠は、単なる閉店費用の補助ではない
廃業・再チャレンジ枠を単独で申請する場合、公式FAQは次の三要件を示しています。
- 2020年以降に売り手としてM&Aへ着手し、申請締切時点で3か月以上取り組んでいる
- 補助事業期間内に廃業を完了する
- 廃業後に地域の新たな需要や雇用創出にも資する再チャレンジへ取り組む
M&Aへの着手は、事業承継・引継ぎ支援センターへの相談依頼、M&A支援機関との契約、マッチングサイトへの登録のいずれかで示すとされています。単に「閉店を考えていた」期間は同じではありません。
単独申請の上限は300万円、補助率2/3、補助下限50万円です。廃業支援費、在庫廃棄費、建物・設備の解体費、原状回復費、一定のリース解約費、土壌汚染調査費などが対象経費として挙げられています。廃業支援費には50万円の個別上限があります。売却して対価を得る在庫の処分費は対象外です。
この枠は、他の3枠と併用して一部廃業費を上乗せする形もあります。補助率は併用先に従います。廃業費なら何でも対象になるわけではなく、原則として補助事業期間内の契約・発注・支払いが必要です。50万円以上の支払いでは相見積が必要となる扱いもあるため、公募要領別紙を先に読みます。
PMI推進枠は「成約後に会社を合わせる費用」を扱う
M&A成立後、経営方針、業務、会計、人事、システムなどを統合する作業をPMIと呼びます。PMI推進枠は、専門家の支援を受ける「PMI専門家活用類型」と、統合後の設備投資等を行う「事業統合投資類型」に分かれます。
PMI専門家活用類型は、補助率1/2、下限50万円、上限150万円です。専門家活用枠の買い手支援類型と同時申請する場合、補助事業期間中にM&Aが実現しなければPMI専門家費用は対象外になると公式FAQが説明しています。
事業統合投資類型は、原則として補助率1/2、下限100万円、上限800万円です。中小企業基本法上の小規模事業者は、800万円相当部分まで補助率2/3となる扱いがあります。対象となる設備・経費、M&Aとの時期関係、賃上げ要件は公募要領で確認してください。
成約前のDDと、成約後のPMIは目的が違います。会社売却の流れのDDで見つけた課題を、統合計画へ落とし込む費用がどの枠に当たるかを整理します。同じ経費を複数枠や他の国の補助金へ重ねて申請する行為は認められません。
申請から入金までを七つに分ける
補助金は、申請直後に振り込まれる資金ではありません。採択は2026年9月中旬以降、交付決定は9月下旬以降の予定です。事業実施期間は交付決定日から2027年11月下旬まで、補助金交付手続きは2027年5月中旬以降とされています。予定は変わり得ます。
- 自社がどの枠・類型・申請者に当たるか判定する
- 行政サービス共通の認証アカウント「GビズIDプライム」、決算書、計画書、見積書などを準備する
- 国の電子申請システム「Jグランツ」で公募申請し、締切前に提出完了を確認する
- 審査・採択結果を待つ
- 採択後に交付申請を行い、交付決定を受ける
- 認められた期間・内容で契約、発注、実施、支払いを行う
- 実績報告と検査を経て、確定した補助金を受け取る
採択と交付決定は同じではありません。採択通知を受けても、交付決定前に対象事業へ着手すると経費が外れるおそれがあります。資金繰りでは、まず全額を支払えるか、補助金が減額・不交付でも事業を続けられるかを確認します。
次回公募を検討する前の確認表
公式申請ページでは、不備の差戻しを希望する場合に締切5営業日前の2026年7月16日までの提出を検討するよう案内していました。終了した15次でのみ示された運用です。次回も同じ締切や差戻し条件になるとは限りません。
それでも、申請直前に初めて確認すると間に合わない項目はあります。将来の公募要領が公開されたら条件を置き換える前提で、次の材料を整理しておきます。
- 申請する枠・類型と、申請者・共同申請者は公募要領に合うか
- GビズIDプライムでJグランツへログインできるか
- M&Aや事業承継の実施時期が対象期間に入るか
- 契約・発注・支払いを交付決定後へ置けるか
- 見積書と相見積を、指定された条件で取得したか
- M&A支援機関登録制度の対象経費は、登録支援機関との契約か
- 補助対象外経費や消費税を自己資金から払えるか
- 採択されない場合の資金計画があるか
- 実績報告まで証憑と支払記録を保管する担当者を決めたか
申請代行を頼む場合にも、事業者自身が内容を理解し、申請へ責任を持つ必要があります。公式公募要領には、行政書士または行政書士法人でない者が有償で申請書類を作ると、行政書士法に違反する可能性があるとの注意書きがあります。契約相手の資格と業務範囲を確認してください。
補助金はM&Aの目的ではなく、必要な取組の一部を支える
四つの枠は、承継前後の設備、M&A専門家、廃業と再挑戦、PMIという異なる場面を支えます。枠名が近くても、同じ経費を自由に移せるわけではありません。最初に会社売却の流れへ取引日程を置き、その中で補助対象になり得る契約・支払いだけを切り出します。
補助金のためにM&Aを急いだり、必要のない設備を買ったりすべきではありません。採択されなくても実施する価値がある取組かを確かめたうえで、対象経費の一部を補う制度として使ってください。受付はすでに終了しています。次回公募の予定や要件を推測で補わず、公式発表が出た時点で、必要な取組と契約時期を改めて照合します。
参考にした一次情報
- 事業承継・M&A補助金 15次公募公式ページ
- 15次公募 事業承継促進枠 公募要領等
- 15次公募 専門家活用枠 よくある質問
- 15次公募 廃業・再チャレンジ枠 公募要領
- 15次公募 PMI推進枠 よくある質問
この記事は2026年8月12日に公式ページを再確認し、15次公募の受付終了を反映した一般的な解説です。本文の補助対象者、経費、補助率、上限は15次公募の内容で、将来の公募条件ではありません。採択・交付を保証するものではありません。最新情報は公式事務局へ、税務・法務・申請書作成の個別判断は税理士・弁護士・行政書士などの有資格者へご相談ください。
執筆・編集
ウルコト / 執筆・編集
中小企業庁や国税庁などの一次情報を優先し、会社売却・事業承継を初めて検討する方の判断材料を整理します。個別の税務・法務判断には踏み込みません。
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