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M&Aのチェンジオブコントロール条項|契約承継前に確認すること

M&Aのチェンジオブコントロール条項を契約別に整理し、発動条件、通知期限、承諾主体を確認する方法を解説。株主変更を控えた売り手が契約承継前に作る判断表と、弁護士・税理士へ渡す資料が分かります。

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M&Aのチェンジオブコントロール条項を確認するとき、契約書に「COC」という語があるかだけを検索しても足りません。株主や役員のどのような変化を発動条件とするのか、その結果が解除、契約見直し、協議のいずれなのか、さらに通知や承諾を誰にいつまでに求めるのかを契約ごとに確かめます。

小規模事業の売り手が最初に作るべきものは、「どの契約について、何を判断してもらいたいか」まで見える契約台帳です。契約名だけでは優先順位を決められません。同じ取引基本契約でも条文の効果が異なり得るため、原文とM&Aの手法を並べて初めて対応を分けられます。

M&Aのチェンジオブコントロール条項で確認する範囲

チェンジ・オブ・コントロール条項とは、賃貸借契約、取引基本契約、フランチャイズ契約などについて、株主の異動や支配権の変動などにより、契約相手方に解除権が生じること等を定める条項です。これは、2026年9月21日時点で確認した中小企業庁の中小M&Aガイドライン(第3版)の用語整理に基づきます。

「株式譲渡なら契約主体である会社は変わらないので、契約確認は不要だろうか」。契約主体が同じでも、条文が株主の異動や支配権の変動を捉えていれば発動し得ます。事業譲渡では、資産等について個別の移転手続が必要です。同ガイドラインも、株式譲渡には対象会社の簿外債務等を引き継ぐリスクがあり、事業譲渡には個別移転が必要になると整理しています。台帳の冒頭に予定する手法を書き、株式譲渡の支配権変更と事業譲渡の個別移転を分けて確認することが出発点です。

契約書内では「チェンジ・オブ・コントロール」以外に、株主の異動、支配権の変更、資本構成の変更、役員の変更などを条件にした文言がないかを確認します。経済産業省のライセンシングの在り方に関する調査報告書に収録されたヒアリングでは、2026年9月21日時点の確認で、発生後の扱いに速やかな協議、契約の見直し、解除という複数の定め方があり、支配権変更の捉え方に役員変更を含み得るとの意見も示されています。株式割合だけで機械的に振り分けず、契約の原文を残して判断する必要があります。

契約一覧から作る判断表

以下は、上記の一般原則を契約確認に落とし込む実務上の一案です。公式資料所定の分類や法律上の義務を示すものではありません。事業継続に関係する契約を一覧にし、契約書、変更覚書、更新書面を同じ行にひも付けたうえで、次の列を埋めます。

台帳の列転記・記録する内容判断につなげる問い
契約名・相手方・事業上の用途名称だけでなく、店舗利用、継続仕入れ、販売、ブランド使用などの用途継続できない場合に確認が必要な業務は何か
対象となるM&A手法株式譲渡、事業譲渡など、現在検討中の手法その手法が条文の条件または個別移転に当たるか
発動条件の原文と要約該当条文を省略せず転記し、別欄に短く要約株主異動、支配権、役員変更のどれを捉えるか
発動時の効果解除、見直し、協議など、条文に書かれた効果契約継続が自動か、相手方の行為や協議を要するか
通知・承諾・協議の別条文の動詞に沿って区別売り手側が行うべき手続を取り違えていないか
期限と起算点「変更前」「変更後」などの原文と、起算となる事象いつから期限を考えるべきかが特定できるか
承諾・通知の相手方契約当事者、賃貸人など条文上の宛先実務担当者ではなく、所定の相手へ届くか
担当者社内の確認担当と、弁護士等への質問担当未確認事項の持ち主が明確か
証憑の保存先契約書、変更覚書、通知案、送付・承諾記録の場所後から原文と対応結果をたどれるか
確認状況未確認、専門家確認中、相手方対応待ち、記録済みなど次の行動が止まっていないか

要約欄には、原文、該当ページ、関連する変更覚書の保存先を組み合わせます。「支配権が変わると承諾が必要」という要約から、原文が捉える変更、期限の起算点、承諾先が抜けると、専門家は契約書全体を再確認することになります。

発動条件・通知期限・承諾主体の読み分け方

台帳を作る際は、一つの条文を条件、効果、手続、期限、主体へ分解します。次の模式文は抽出方法を示すためのもので、実在する契約の引用や法的に推奨される条文例ではありません。

株主構成その他の支配関係に重要な変更を予定するときは、あらかじめ相手方へ通知し、その取扱いを協議する。

この模式文から抽出できる発動条件は「株主構成その他の支配関係の重要な変更」、手続は「通知」と「協議」、時点は「あらかじめ」、宛先は契約上の相手方です。「重要」の範囲、通知の具体的期限、協議が整わない場合の効果は確定しません。承諾という語もありません。台帳の未確定部分には「解釈不明」「他条項との関係を確認」と記し、推測を交えず弁護士へ渡します。

別の契約に「変更には事前承諾を要する」とあれば、通知のみの契約とは手続が変わります。解除権が定められている場合も、解除が自動的に生じるのか、相手方が権利を行使できるのかを原文に照らします。経済産業省の調査で複数の定め方が確認されており、「COCあり」という一列だけで対応を決めるのは危険です。

中小M&Aガイドラインは、COC条項がある場合、契約継続のために事前に賃貸人等との協議や交渉が必要になることがあるとしています。2026年9月21日時点の確認では、この記載は一律の事前承諾を求めるものではありません。各条文から必要な対応を確かめるための根拠として扱います。

売り手が使う仮分類とエスカレーション

表を埋めたら、上記資料の一般原則を基にした実務上の一案として、各契約を次のいずれかに仮分類します。この分類は原典所定のものでも法律上の義務でもなく、最終的な法的判断は弁護士の確認を要します。

仮分類台帳で確認する記載売り手の次の行動
クロージング前の承諾が明記承諾条項の原文、承諾主体、必要時点取引日程との前後関係を示し、連絡方法を弁護士と決める
期限付きの事前通知が明記通知期限、起算点、宛先、送付方法期限の読み方と通知案を弁護士へ確認する
解除・見直し・協議が発生発動条件と発動後の効果、関連条項契約継続への影響と現実的な対応策を相談する
条項なし、または解釈不明検索した語、確認範囲、不明な文言「問題なし」とせず、重要契約は確認対象として残す

仮分類は、弁護士へ渡す質問を作るための仕分けです。原文、根拠ページ、未確認事項を残し、専門家の判断を受けて更新します。法務デュー・ディリジェンスでは重要な契約を含む複数の観点を調査し、判明した法的問題がM&A実行へ与え得る影響と現実的な対応策を整理することが重要とされています。準備全体は売り手が進めるM&Aデューデリジェンスの準備も併せて確認できます。

弁護士・税理士への相談資料をそろえる

弁護士へは、判断表に加えて、予定するM&A手法、契約書一式、変更覚書、更新書面、過去の通知・承諾記録、想定する取引日程、未確認事項の一覧をまとめて渡します。「この株主変更は発動条件に当たるか」「この文言は通知・承諾・協議のどれか」「期限の起算点は何か」「誰の承諾または誰への通知が必要か」「解除・見直しの定めは取引実行へどう影響し得るか」と、契約行ごとに質問を具体化します。

中小M&Aガイドラインは、契約書等が当事者の合意を正確に反映しているか確認し、場合によって交渉を要するため、弁護士による作成やリーガルチェックの支援が望ましいとしています。相手方へ連絡する時期や説明内容は取引にも関わるため、売り手だけで先に進めず、弁護士と段取りを確認します。

税理士へは、検討中のM&A手法と対象範囲が分かる資料を共有し、契約の扱いに関連して税務上の確認が必要な事項があるかを個別に尋ねます。法務上の条文解釈と税務上の判断を一つの回答で済ませず、担当領域を分けて質問し、回答者と確認日を台帳に記録します。

売却全体の順序と契約確認を結び付けるには、会社売却の流れと準備の進め方を参照し、候補先との協議や契約締結の前後で、どの契約の承諾・通知・協議が未完了かを更新します。取引日程が変わった場合も、期限欄と確認状況を見直せる状態にします。

契約承継前に残す確認記録

契約承継前に残すべき成果物は、各契約について「予定手法に照らした発動条件」「発動後の効果」「必要な手続」「期限と起算点」「承諾・通知の相手方」が原文とともに追える記録です。COC条項の件数は補助的な情報にとどまります。条項が見つからない契約や解釈が割れる文言も消さず、確認範囲と未解決事項を残してください。同じ名称の契約でも対応が異なり得るという冒頭の条件は、この一行単位の記録によって具体的な判断へ変わります。

本ページは2026年9月21日時点の公開資料に基づく一般的な情報であり、法務・税務上の助言を提供するものではありません。個別案件の契約解釈、相手方への通知・承諾・協議の要否と時期、M&A手法の選択、税務上の取扱いは、契約書と取引条件を示したうえで弁護士・税理士等の専門家へ確認してください。

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ウルコト / 執筆・編集

中小企業庁や国税庁などの一次情報を優先し、会社売却・事業承継を初めて検討する方の判断材料を整理します。個別の税務・法務判断には踏み込みません。

  • ・公的機関・各社公式サイトを優先して参照
  • ・制度・料金情報は調査日と更新日を確認

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