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M&A仲介手数料の相場と計算方法|最低報酬・成功報酬を確認

M&A仲介・FAで発生する着手金、中間金、成功報酬、最低報酬を整理。レーマン方式の計算例と、基準額・両手取引・別費用を契約前に確認する方法を解説します。

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M&A仲介手数料は、「成功報酬5%」だけでは総額を判断できません。同じ料率でも、譲渡額、株式価値、純資産、移動総資産のどれに掛けるかで金額が変わります。差は大きくなります。最低報酬も見ます。設定されていれば、料率計算より最低報酬が優先される場合もあります。

さらに、相談料、着手金、月額報酬、中間金、専門家費用、消費税まで含めると、成約前にも支払いが発生します。売り手は、希望価格だけでなく、借入や役員退職金、税金、手数料を引いた手残りで判断しなければなりません。

本記事は、2026年8月10日時点の中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版)」とM&A支援機関登録制度の案内を基に、手数料の種類、レーマン方式の計算、契約前の確認事項を整理します。契約書が基準です。個別の契約・税務・法務判断は、弁護士、税理士などの専門家へ確認してください。

M&Aで発生する費用を時系列で分ける

最初に、いつ、何に対して支払うかを並べます。名称が同じでも、含まれる業務と返金条件は支援会社によって異なります。

費用主な発生時点主な対価成約しない場合
相談料初回相談、個別助言初期相談、簡易評価支払済み分は通常発生
着手金仲介・FA契約の締結時資料作成、案件化、候補探索の開始返金されない契約がある
月額報酬契約期間中の毎月継続的な助言、候補探索活動期間に応じて発生
中間金基本合意などの時点候補絞り込み、主要条件の合意までの支援最終成約しなくても発生する場合がある
成功報酬最終契約または決済時成約までの仲介・FA業務成約しなければ原則発生しないが、テール条項に注意
実費調査・出張などの発生時交通、資料取得、外部調査実際に使った分が発生し得る
専門家費用DD、契約、税務、登記など弁護士、税理士、公認会計士、司法書士等の業務各専門家との契約に従う

「完全成功報酬」と表示されていても、専門家費用や実費まで無料とは限りません。名称だけでは足りません。成功報酬へ着手金や中間金を充当するのか、それぞれ別に加算するのかも確認します。

成功報酬で使われるレーマン方式とは

レーマン方式は、基準となる金額を階段状の区分へ分け、それぞれの部分に料率を掛けて合計する計算方法です。一つの金額へ一律の料率を掛ける計算とは異なります。

よく示される料率表の一例は次のとおりです。これは説明用の例で、すべての支援会社に共通する法定料金ではありません。

基準額の部分例示する料率
5億円以下の部分5%
5億円超〜10億円以下の部分4%
10億円超〜50億円以下の部分3%
50億円超〜100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

基準額が8億円なら、5億円までへ5%、残る3億円へ4%を掛けます。

5億円 × 5% + 3億円 × 4% = 3,700万円

8億円全体へ4%を掛ける計算ではありません。契約書では、料率表だけでなく、端数処理、消費税、成功報酬の発生時点を確認します。

同じ料率でも基準額によって手数料は変わる

最も見落としやすいのが、料率を掛ける基準額です。中小M&Aガイドライン第3版は、成功報酬の基準として、譲渡額、移動総資産額、純資産額など複数の考え方を説明しています。

基準額の例おおまかな意味確認すること
株式・譲渡対価売り手が株式や事業の対価として受け取る金額退職慰労金、役員借入金返済、配当を含むか
純資産資産から負債を差し引いた金額を基礎にする帳簿価額か調整後か、どの時点の決算か
移動総資産取引で移る資産と負債を含む金額を基礎にする考え方借入金など負債をどう加えるか
企業価値等株式価値に有利子負債などを調整した金額を使う場合がある計算式と対象項目を契約書で特定できるか

説明用に、株式の譲渡対価が3億円、対象会社の有利子負債が2億円とします。最初の5億円以下へ5%を掛ける例では、譲渡対価3億円を基準にすれば1,500万円、3億円へ負債2億円を加えた5億円を基準にすれば2,500万円です。

3億円 × 5% = 1,500万円

(3億円 + 2億円)× 5% = 2,500万円

差は1,000万円です。料率ではなく、基準額から生じます。実際の移動総資産や企業価値の定義は契約ごとに異なるため、上の式を自社案件へそのまま使わないでください。候補会社には、同じ想定譲渡額と負債を渡し、計算過程を書面で示してもらいます。

最低報酬は小規模M&Aほど影響が大きい

最低報酬とは、レーマン方式の計算額が一定額を下回る場合でも支払う成功報酬の下限です。

たとえば、譲渡対価2,000万円へ5%を掛けると100万円です。しかし最低報酬が500万円なら、成功報酬は500万円になります。最低報酬が2,000万円なら、譲渡対価と同額の成功報酬になる計算です。消費税や別費用はさらに加わり得ます。

2,000万円 × 5% = 100万円 → 最低報酬500万円を適用

小規模案件では、料率より最低報酬が手残りを左右します。影響は小さくありません。契約前に少なくとも次の3条件で試算してください。

  1. 希望する譲渡価格
  2. 価格が2割下がった場合
  3. 最低限受け入れられる価格

価格が下がっても最低報酬は変わらない契約なら、手残りの減少率は大きくなります。数字で確かめます。売却を急ぐ前に、公的窓口、マッチングプラットフォーム、仲介、売り手FAなど、案件規模に合う支援方法を比較します。

仲介の「両手」とFAの「片手」で何が違うか

仲介は、同じ支援会社が売り手と買い手の間に入り、双方から手数料を受け取る場合があります。FAは、売り手または買い手の一方と契約し、その依頼者へ助言します。立場は異なります。

仲介では、自社が支払う額だけでなく、相手方から受け取る手数料も取引条件へ影響し得ます。中小M&Aガイドライン第3版は、仲介者に対し、相手方の手数料についても、報酬率、基準額、最低手数料、発生時点などを依頼者へ説明するよう求めています。

確認するのは「両手か片手か」という呼び名だけではありません。

  • 売り手と買い手の双方から報酬を受け取るか
  • 双方の報酬の基準額と最低報酬はいくらか
  • 価格や条件が対立したとき、誰の利益のために助言するか
  • 仲介者ができない法務・税務判断を誰が補うか
  • 買い手候補の資金力や実態をどこまで確認するか

仲介には、候補探索や連絡調整を一つの窓口で進めやすい面があります。一方、利益相反の可能性を理解し、独立した弁護士や税理士の助言が必要な場面を決めておくことが重要です。

契約終了後に成功報酬が生じるテール条項を読む

テール条項は、仲介・FA契約が終わった後も、一定期間内に特定の相手と成約した場合、元の支援会社へ成功報酬を支払う条項です。支援会社が紹介した相手と、契約終了直後に直接取引して報酬を回避することを防ぐ目的があります。

ただし、対象と期間が広すぎると、別の経路で見つけた相手との取引にも影響します。次を確認します。

  • 対象となる買い手候補が書面で特定されるか
  • 契約終了後の期間はどのくらいか
  • 支援会社が実際に紹介・接触した相手に限られるか
  • 別の支援会社や自社で見つけた相手を除外できるか
  • 成約の定義と成功報酬の計算方法は何か

専任条項も同様です。他の支援会社への相談や、売り手と買い手の直接交渉をどこまで制限するか、違反時の費用を確認します。契約書の名称が「業務委託契約」でも、条項の内容を一つずつ読みます。

仲介手数料とは別に見積もる費用

M&Aでは、支援会社の手数料以外にも費用が生じます。

  • 弁護士による契約書の確認・交渉
  • 税理士による税額試算、組織再編、申告
  • 公認会計士等による財務調査・株価算定
  • 司法書士による登記
  • 不動産、許認可、知的財産などの調査
  • データルーム、資料取得、出張などの実費
  • 消費税

売り手側のデューデリジェンスや事前調査を行う場合もあります。問題を先に把握できる利点はありますが、範囲と費用を決めずに始めないでください。

株式譲渡と事業譲渡では、税金を負担する主体や移す契約が異なります。仲介手数料だけで手残りを計算せず、想定スキームを税理士へ示し、税引後の金額を試算します。

3つの価格で手残り表を作る

契約前に、希望価格、基準価格、下振れ価格の3列を作ります。以下は項目を整理するための様式です。

項目希望価格基準価格下振れ価格
株式・事業の譲渡対価
役員借入金返済・退職慰労金等
成功報酬
着手金・中間金・月額報酬
専門家費用・実費
消費税
譲渡に伴う税金の概算
最終手残り

成功報酬は、各列で基準額から計算し直します。最低報酬が適用される列には、その金額を書きます。仲介が相手方から受け取る報酬は自社の支払額ではありませんが、取引への影響を検討するため別欄に記録します。

契約前に質問する10項目

候補となる仲介・FAへ、同じ10問を送ります。

  1. 相談料、着手金、月額報酬、中間金、成功報酬はそれぞれいくらか
  2. 成功報酬はいつ発生するか。最終契約時か、決済時か
  3. レーマン方式の基準額は何か。負債、退職慰労金、役員借入金を含むか
  4. 最低報酬はいくらか。料率計算とどちらを優先するか
  5. 着手金・中間金を成功報酬へ充当するか
  6. 成約しない場合に返金される費用はあるか
  7. 仲介の場合、買い手からも報酬を受け取るか。その計算方法は何か
  8. 弁護士、税理士、DD、登記など別料金の業務は何か
  9. 専任条項、直接交渉の制限、解約条件はどうなっているか
  10. テール条項の対象者、期間、成功報酬はどう定めるか

口頭の回答だけで契約しません。想定する譲渡価格、負債、スキームを入れた手数料試算と、提供業務の一覧を受け取ります。複数社の提案を比べるときは、査定価格の高さではなく、価格の根拠、買い手候補、担当範囲、利益相反への対応も並べます。

会社売却の流れに沿って、相談、資料作成、候補探索、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、決済の各工程で誰が何をするかを重ねると、支援の空白を見つけやすくなります。

料率より先に、基準額と最低報酬を確認する

M&A仲介手数料を比べる順番は、料率、会社名、査定価格ではありません。順番が重要です。まず発生する費用を時系列で分けます。次に、成功報酬の基準額、最低報酬、発生時点、相手方からの報酬を確認します。最後に、専門家費用と税金を加え、3つの売却価格で手残りを試算します。

「成功報酬5%」という短い表示だけでは、支払総額も支援内容も分かりません。計算式と業務範囲を同じ書面へ残し、契約終了後の条件まで読んでから依頼先を決めてください。

参考にした一次情報

FAQ

よくある質問

M&A仲介の成功報酬はどのように計算しますか?
レーマン方式を使う例が多いものの、料率を掛ける基準額は譲渡額、株式価値、純資産、移動総資産など支援会社によって異なります。最低報酬と消費税も含め、想定条件で書面の試算を受けてください。
M&Aが成立しなくても手数料はかかりますか?
契約によります。着手金、月額報酬、中間金、調査費用などは、成約しなくても返金されない場合があります。発生時点、返金条件、契約終了後の成功報酬を契約前に確認します。

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中小企業庁や国税庁などの一次情報を優先し、会社売却・事業承継を初めて検討する方の判断材料を整理します。個別の税務・法務判断には踏み込みません。

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